アロンソがタイトル奪取! マッサは母国GP初制覇 [F1-LIVE.com]
今日の主役は4人いました。
セナ以来13年ぶりに母国優勝し、ブラジル国歌を流した
フェリペ・マッサ。
きっちりドライバーズ・タイトルを獲得した
フェルナンド・アロンソ。
引退レースで驚異的な追い上げを見せ付けた、
ミハエル・シューマッハ。
そして、スーパーラップを連発して実力でトップ10入りした
佐藤琢磨。
まずは
フェリペ・マッサ。
もしアロンソがリタイアして、シューマッハが2番手に上がってきたら、おそらく優勝を譲っていたはずです。私はミハエルは応援していましたが、実際にそういった行為がされていたら、複雑な気持ちだったでしょう。これで良かったのだと思います。母国GPでの優勝……それはマッサにとっても、ブラジル国民にとっても大きなことです。セナ以来、実に13年ぶり。ましてや今回は、その間F1を引っ張ってきたミハエルの引退レースなのですから。変なカラーのレーシングスーツも、結果としては良かったんじゃないかな(笑)
次に、
フェルナンドアロンソ。
2年連続でのドライバーズ・タイトル獲得は、例えマシンに力があれど、真に実力を伴わないドライバーに出来ることではありません。地上波でも言っていましたが、越えるべき壁に先立たれてしまったミハエルとは違い、そのミハエルを破った上でのタイトル獲得です。いつものおちゃらけたパフォーマンスとは違う、込み上げる涙は、タイトルの重みを如実に表しているようでした。
同時にルノーはコンストラクターズ・タイトルをも獲得。来季はエンジンの仕上がりがいまいちなマクラーレンに移籍するので、今後数年エンジン開発が凍結されることを考えると、厳しいシーズンを繰り返すことになるでしょうが…。マクラーレンがそんな状況、ルノーは開発鈍化傾向、フェラーリはミハエル離脱で体制が変わるため先行き不透明…。エンジンの調子が良く、今季体制を維持するホンダは来季チャンスかもしれませんね。
引退レースとなった
ミハエル・シューマッハ。
華麗なスタートを見せたと思いきや、9週目にタイヤバースト(ロズベルグのクラッシュの破片orフィジケラとの接触が原因?)で最後方に下がるなどトラブル続きでした。
ですが結果は4位。2位のアロンソから僅か5秒差の4位。とても引退するとは思えない、4位でありながら誰もが認める今日のベストレーサーでした。
もし、予選か決勝9週目、どちらかのトラブルがなければ優勝も十分可能だったでしょう。それで流れが変われば、ドライバーズ・タイトルの可能性もあったはず。しかし、結果では若手ドライバーに花を持たせて、自分は最高の走りで観客を魅了……圧倒的なポールトゥウィンよりも、最後を締めくくるのに相応しいレースだったのではないでしょうか。
私が小さい頃憧れていたドライバーは、アイルトン・セナでした。そのセナが死んだ時、セナを追いかけて真後ろにいたのがミハエルでした。
F1をしっかり見始めた頃には既にセナに代わってミハエルが王者となっていました。表面の明るい表情や言動とは異なり、腹に黒いものがあると分かった上で応援してましたが(笑)
ジャックとの事件等で、その狡猾さに嫌気がさしたこともありました。今ではそれはミハエルの“弱さ”だったのかもしれないと思っています。彼とて、ターミネーターなどではなく、れっきとした人間なのですから。
ミハエルは、世界中の人々からはF1の代名詞として、多くのF1ファンからは愛されるべき悪役として、長い間活躍してきました。今寂しさを感じている私も、何だかんだ言って、結局はシューマッハが好きだったのかもしれません。琢磨が3位表彰台に乗ったとき、優勝したシューマッハが「今日は2人の勝者がいる」と琢磨を称えた姿が忘れられません。またパドックでミハエルを見られる日が来ることを願っていますが、とりあえずは家族サービスと心の休養を。
佐藤琢磨に関しては…。
私が日本人だから“今日の主役”に琢磨を入れたわけではありません。今日の走りには、世界中の誰もが驚いたことでしょう。チーム設立から僅か1年で10位…それも、雨の波乱等に頼ることなく、実力で。あのマシン……SA06で、トップチームに劣らない、予選のタイムにも匹敵する1分13秒台を連発し、全71周の中で何度かラップリーダーになったんです。まるで、リミッターを外した途端、セナがホンダエンジンのために乗り移ったかのように。
スーパーアグリのスタッフも、ピットでミスをしないどころか、他チームをも上回る正確さで琢磨を送り出しました。去年までいたBARホンダで、どれだけお粗末な仕打ちを受けてきたかを思い出せば…完全なる新チームでのスタッフの努力には頭が下がります。
結果、ライバルのスパイカーMF1だけではなく、レッドブルやトロロッソにも先着しました。新車を設計したプレストンは、SA06デビュー前に、レッドブルと戦える位置に持っていくと明言していました。当時は何を大げさな、とも思っていたのですが、最終戦でやってくれたじゃないですか。ブリヂストンも見事です。
山本左近も完走を果たしました。オーバーテイク出来なかったりミスしたりで、結果は実質最下位でしたが、最後に予選をも上回る素晴らしい自己ベストを記録しました。来季のシートは危ういですが、今後経験を積めば、まともなドライバーとして認められる日も来るでしょう。
SAF1のスタッフの皆さん、お疲れさまでした。今日は皆がヒーローです。
1年間、最高の夢をありがとうございました。
そしてまた、来年!