パプリカ
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
昨年、筒井康隆原作の映画が3作公開されました。
「時をかける少女」「日本以外全部沈没」、そしてこのSFアニメーション「パプリカ」。
医療研究所が開発した他人と夢を共有できる画期的なテクノロジー“DCミニ”。だがそれが盗まれ、悪用して他人の夢に強制介入し、悪夢を見せ精神を崩壊させる事件が発生するように。一体、犯人の正体は? そして目的は何なのか? 事件の解明に挑む美人セラピストの千葉敦子は、クライアントの夢の中へ容姿も性格もまったく違う夢探偵“パプリカ”となって入っていくが、そこには恐ろしい罠が待ち受けていたのだった…。(Amazon.co.jpより転載)
最初に今敏監督の映画を見たときは、精神は大丈夫なんだろうかと心配したものですが…(笑) その“味”を受け入れてくれるファンがいるからこそ、これだけの結果を残してこれたわけで。
この監督の作品には大抵、唐突に意味が分からないシーンが挿入されます。妄想であったり精神世界であったり…。映画の前半はまだ、付いていけてるのか不安になるほど一通り混乱させた後に、理解へと導いてくれるのですが、後半になるにつれて現実と虚構の区別が曖昧になります。最後にすっきりまとまるかどうかは、作品次第…。
今回のパプリカにおいては、それが「夢」の世界。魅力の大半は、その夢の表現に詰まっています。スピード感あふれる虚構映像が、オマージュを交えて次から次へと移り変わり、観客を圧倒します。何よりも圧巻なのは、神経を逆撫でるようなパレードシーン。不気味なお祭り音楽を奏でながら、紙吹雪を撒き散らし、擬人化された電化製品やら人形やら自由の女神やらが隊列をなす様は、狂気の沙汰そのもの。
大人が持ってる子供のような遊び心、とでも言えばいいかな……そういうユーモアがあふれています。そこに面白さを感じ取れるかどうかで、この映画自体の評価が分かれるでしょう。正直、全体のストーリーとしては、すっきりしない部分が多すぎて…。いつものことですが、個人的には、もっとしっかりとした骨格を提示して欲しいと思わずにはいられません。
声優陣は、林原めぐみ、古谷徹、大塚明夫、山寺宏一など、ベテラン中のベテランを揃えています。ジブリとは異なり、「声は大丈夫だろうか」などとハラハラすることもなく、安心して見ることが出来ました(笑)
それにしても…超巨漢役の古谷徹は、ちょっと意外な役でした。脂肪の塊からアムロの声が…。
ちなみにこの映画、ベネチア国際映画祭で好評価を得ました。所謂、評論家受けする作風なんだろうと思います。また、個人レビューを見ても好評価が多いです。ただ、無作為に人を選んで映画を見せ、評価させたとしたら、決してそうはいかないでしょう。わざわざこの映画を見る人は、元々どういった作風か分かってる人が大半でしょうから。
お気に入り度 ★★★★★★☆☆☆☆(6点)
心に余裕がないときに見ると、全てにいらつくかもしれない…。