メンチ・哀愁の日記

〜なせばなる!

映画「時をかける少女(2006年・アニメ)」感想

時をかける少女 通常版
時をかける少女 通常版
角川エンタテインメント


青空が綺麗…。


昨年夏、アニメ作品「ゲド戦記」や「ブレイブストーリー」が(広告費に見合うかは別にして)興行収入を伸ばす中、上映館が少なくて影に隠れながらも、観客の満足度で首位をひた走る作品がありました。

それは、細田守監督の「時をかける少女」。

口コミで人気が広がり、わずか数館しかなかった劇場公開館が最終的には100館を越えるという盛り上がりを見せました。そして、前述の2作品を押しのけて数々の賞を受賞。これを見ずして2006年の映画は語れないと、DVD化を心待ちにしてました。

ロングヒットの影響か、なかなかDVD化されませんでしたが、ようやく先月発売。
早速入手しました。


約1時間40分の映画なのですが、「これほんとに面白いのかな?」と思いながら1時間が経過してしまい、不安になりはじめた頃に雰囲気が一変。
一気に引き込まれ、残りの40分はあっという間でした。

原作や、過去の映画作品に現代的なアレンジを加えた、オリジナリティあふれる作品となっています。時は本来の「時をかける少女」の20年後、原作主人公・芳山和子の姪(紺野真琴)が主人公という、続編的な設定です。完全な続編とは言えないけど、これはこれで単体作品として楽しめるし、1983年の大林版を知っているとちょっとした小ネタも楽しめる作りになっています。

大林版に敬意を表しながらも、その出来はまるで違いました。序盤が長い気はするけど、テンポ自体は良いんです。そもそも、本作は決してアイドル映画的ではありません。予告編で真琴の声を聴いたときは、絵的なイメージとのギャップに驚いたのですが…。この声が新鮮でいいんです。健康的で活発で真っ直ぐ(そしてアホ(笑))な性格にぴったり。(本職声優ではないけれど、宣伝のために有名人を起用する某制作会社とは大違い)

その真琴の、アニメならではの表情(特に泣き顔)が、胸に突き刺さってくるんですよね…。“舞台”ではなく、“人の心”を伝える意味での演出面では、大林版とは比較にならないほど優れている、と私は感じました。

そして、効果的な挿入歌も、もっと見たいと思わせる余韻を残すラストも、エンディングの歌も素晴らしかったです。個人的に大林版のエンディングが気に入らなかっただけに、余計に好印象でした。


ストーリーでも、演出面でも、非常にクオリティが高いです。
ただ、どうしても気になる矛盾があって、そこに引っかかってしまって…。

無理やり解釈することも出来なくはないのですが…。
「語られていない特殊設定」があるのか、登場人物がアホだっただけなのか。。


つまるところ、パンがなければケーキを食べればいいじゃない。
○○○がなければ、それがある時点までタイムリープすればいいじゃない。


それを差し引いても良い映画であることには違いないんだけど、そこに整合性があればもっと良い映画になったはずです。ストーリー上の重要な鍵なので、作中できちんと説明されなかったことはマイナスポイントとして評価されるのも仕方ないことでしょう。なくすわけにはいかないのですが、なんとか上手く作れなかったものでしょうか…。



高畑京一郎氏の小説「タイム・リープ あしたはきのう」(上巻下巻)並みに、骨格がきっちりしていたらと思うと…。ちょっと惜しい作品ではあります。
というか、このスタッフ、この監督でタイム・リープを映画化して欲しいです。
(既に実写映画化はされてるんだけど、監督がアレなんであまり見る気がしない…)

お気に入り度 ★★★★★★★★☆☆(8点)
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映画「時をかける少女(1983年・原田知世主演)」感想

時をかける少女
時をかける少女


五郎ちゃん五郎ちゃんと連呼されると白い巨塔を思い出してしまいます。
(いきなりどうでもいい話題から入った)


この作品は、大林宣彦監督の尾道三部作の1つです。なんて落ち着いた街並みでしょう。原作のイメージとはちょっと違うけど…。尾道に、ゆったりと流れる時間……そこにSF要素が融合(笑)

大林監督は情緒あふれる風景をじっくり見せたかったようで、その分寄り道が多く、ストーリーのみを楽しむためには無駄が多い構成となっています。ゆったりとしたテンポに浸れて心地よいと感じることもありますが、悪く言えば冗長とも…。そういった繊細なタッチをどう受け取るかで評価が分かれそうです。


原田知世はかわいいけど、正直言って演技はいまいちでした。これが原田知世の代表作と言われても、売りと言えるのは“本人の”初々しさくらいじゃないでしょうか。アイドル映画としてはそれでいいのかもしれませんけどね。


タイムリープシーンの映像はかなりチープです。終盤の回転映像は一瞬何のギャグかと思った…。でも1983年作品なんだから仕方ない……仕方ないと自分に言い聞かせて笑いを抑えました。


ラストシーンは原作よりも好きです。受け手に想像の余地をしっかり残してますので、映画を見た人同士でいろいろと語り合うこともできるでしょう。

だがしかし!
最後の最後は何なんですか('A`)
エンドロールとともに始まるミュージカル…。せっかく余韻に浸れるところなのに、
「これは作り物ですよ、お前らは現実に(・∀・)カエレ!」
と突きつけられたような(笑)
そんなん、映画館を出るまで待ってやれよう…。

お気に入り度 ★★★★★★☆☆☆☆(6点)
(原作より先に見ていれば、物語としてもうちょっと楽しめたかな…)
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筒井康隆「時をかける少女」感想

時をかける少女 〈新装版〉
時をかける少女 〈新装版〉
角川書店


予想外に壮大な話の飛躍にビックリ(笑)

放課後の誰もいない理科実験室でガラスの割れる音がした。壊れた試験管の液体からただようあまい香り。このにおいをわたしは知っている―そう感じたとき、芳山和子は不意に意識を失い床にたおれてしまった。そして目を覚ました和子の周囲では、時間と記憶をめぐる奇妙な事件が次々に起こり始めた。思春期の少女が体験した不思議な世界と、あまく切ない想い。わたしたちの胸をときめかせる永遠の物語もまた時をこえる。 (Amazonより転載)


この小説が世に出たのは1967年のこと。なんと40年前にもなります。冷蔵庫や洗濯機がようやく普及した時代に、これだけのSF作品を創り上げた筒井康隆氏に感服。

言葉使いは若干古さを感じさせる部分もあります。登場人物が男女問わず君付けで呼び合っていたり、句点を入れる場所がちょっと変わっていて読むテンポがずらされたり、何故この文字を平仮名で?と思うような箇所が多かったり…。「かの女」という表現は、最初「彼女」だと思わず「かのおんな」だと思ってました(笑)

しかし、本質の面白さは今でも変わりません。重厚に成り得るテーマがありながら短編の形をとっているので、アッサリ感が否めず、特別に感情を揺さぶられる物語ではありませんでしたが、読後の切なさ……というか、喪失感、そして希望は、これぞジュブナイルと言える要素ではないでしょうか。…私はどちらかといえば某夫婦を思って胸が痛みましたが、そこに本筋がおかれていないので…。

時間移動ものはSFとしては面白いのですが、どんなにうまく物語を組み立てようとしても、首を傾げてしまうような疑問は残ってしまいます。この世界にはバタフライ・エフェクトというものがあるので、どうしても矛盾が生じてしまうんです。まあ、エンターテインメント作品に対して深く突っ込むのは野暮ってものなのでしょうね。素直に楽しむべきでしょう。ドラえもんを見るときのように(笑)

「時をかける少女」と同様の面白さを再び味わってみたい方には、是非、高畑京一郎氏の「タイム・リープ」(上巻下巻)を読んでいただきたいです。進化した「時をかける少女」の物語とも言える、本作のオマージュ的作品あり、時間移動をテーマにしながら矛盾を極力減らす努力が講じられています。本作の読者であれば、ニヤリとするシーンもあるかもしれませんよ。



「時をかける少女」の文庫本には、他に2つの短編が入っていました。

1つは「悪夢の真相」。
推理小説さながらに、主人公がトラウマの原因を探っていき、とある真実に辿り着きます。なかなかスリリングな描写もあり、一気に読み終えてしまいました。3つの話の中で、一番私の好みに合っている気がしました。読み入っていると忘れてしまいがちですが、汽車が出てきたりして、ふと時代の違いを感じさせられます。

もう1つは「果てしなき多元宇宙」。
短編というか、ショートショートです。あまりに突飛な展開に思わずふき出してしまいました。こういった遊び心が、筒井氏の魅力でもあるのでしょうね。

どちらもそれなりの良作でした。

お気に入り度 ★★★★★★★☆☆☆(7点)
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